新人教育について。
これまで何人か新人や2、3年生の教育をしてきましたが、去年1年全くのド素人を年間通じて教育しました。(現在進行中)
私の教育がどうだったかはさて置き、その彼は(今後は彼の努力次第で分かりませんが、少なくとも現段階では)
周囲からも、十分に認められています。僕の『誇り』であり『自慢』です。おかげで少しですが、僕自身も自信が付きました。
自分が新人のころを考えると、雲泥の差です。(もちろん、彼のほうがずっと良いです。100倍くらい・・・)
現段階で、その状態に来たのは、彼個人のセンスと能力、そして、何よりも
「謙虚さ」「努力」「自己管理(体調/メンタル)」のおかげだと思います。
だからこれだけは今後も持ち続けて欲しいと願っています。
とはいえ、一応、教育をしたので、その過程と頭を悩ませたことを書いておきます。
何をやったか?よりも、何をどういうふうに考えたか?の方が重要だと思いますので、そこを主にメモしします。
良くも悪くも今後の教育をするさいの比較対象になればという思いを込めて。
【制約】
自分自身は以下の作業を抱えている。
- 10人〜13人のPJリーダー
- 共通機能製造
よって、常にべったり教育という分けにはいかない。
【教育するにあたっての基本的な心構え】
- 「正確さ」よりも「明確さ」。
- シンプルに。
- 相手はド素人である。
- 何事も知らないのが当たり前。
- 基本は「怒る」のではなく「教える」「指導する」。
- 問いにより相手に答えまでたどり着かせる。
- 考える力を身につけさせる。
- 「自分(私)のためにやっている」というメンタルで望む。
- 教育することで自分も成長する。後輩から学ぶ。
- 将来自分が楽するためだし、100%相手のためなどという考えでは続きません。
- 短所よりも長所を見つける。
- 「楽しい」という感覚を与える
- 孤独感を与えない。
- 仕事の天敵。
- ただでさえ、緊張しているので、まずは学習しやすい環境を作る。
- 「習慣」をつけさせるように指導する。
- 内容によっては「理由」や「目的」よりも数をこなす。
- 昼飯は一緒に行こう。
- これが以外に重要かと。
【教育内容】
メンタル面
〜開始当初〜
これだけに絞りました。自分の中では他にも詰め込みたい気持ちもありましたが、「これだけは」というもののみにしました。
- お金をもらうということ。
<<なぜ新人が雑用をするのか?なぜ新人が朝早く来なければならないか?>>
- 学校・・・お金を払って、対価を得る。
- 仕事・・・対価を払ってお金をもらう。
「対価をどうやってはらうのか?今この時期(来て2〜3日目)でも給料もらえるけど、何だったら少しでも対価を支払える?新人なので、釣り合いがとれるほどの対価は求めないが。」という若干厳しめな内容に対して彼は「今の自分には雑用をすることや朝早くくることです。頑張ります。」と答えてくれました。
この時点で、考える力もあるし、謙虚だなと感じ、当面は細かいことを言うよりも自分で考えさせる割合を増やしていこうと決めました。
- メモを取ること。
⇒ これは強制です。理由云々の前に習慣をつけるように指導しました。
必ず、先輩に呼ばれたら、ノートとペンを持っていくように。言われたことはメモるように。
- 挨拶は大きな声で。
技術面
〜計画段階〜
正直、計画はなく、”NO PLAN”です。ただ、「何とかなるや」という感じで根拠なく楽観視していました。
やりながら、試行錯誤しながらより良い方法を見つけていこう・・・
さて、何からやらせようか・・・?
↓
「楽しい」と感じさせながら、「学習」させるにはどういう方法が効果的か?
↓
「楽しく」これだけに絞ろう。(現段階で真っ白だし、何をやらせてもレベルアップはするだろう・・・)
↓
「楽しく」って?
↓
「人間、自分が何かを吸収しているときに充実感を感じる。その状態を仕事では "楽しい" というのが今のところの
自分の解。それが向いている内容であればベスト」
↓
「理解しやすい」「達成感を得る(自分が向上していることを実感する)」
↓
「直感的に理解しやすいもの、成果物を視覚的に感じることができるものが達成感を得やすい」
↓
「目に見えるもの」
↓
「せっかくだから今後もずっと使うであろうもの・・・」当然ですが、いきついたのは、Microsoft製品です。あわせて、まずは、PCに慣れてもらうこと。
(結局一般的に最初にやらせることに行き着いてしまいました・・・)その中で、少しでも向いている作業内容(さすがにいきなり分野とまでは行きませんが。)を
見極めようと考えていました。とにかく、「良いところ」を。きれいごとに聞こえるかもしれませんが、
期間は限られています。いずれ近いうちに自分のPJで作業することを考えると、こっちも必死です。
以下の考えは、理解はできますが、今回は新人ですし、全く適用しませんでした。
人はみな、独自の強みと弱みを持っているけれど、成長の余地がいちばん大きいのは弱みの部分だ。
だから成功するためには、弱みを見きわめ、その改善に取り組まなければならない。
「上司と話し合っても、自分の短所を指摘してくれないなら、席を立つべきだ。何も得るものがないのだから」
ということで本屋へ直行し「はじめての〜」シリーズで、「Windows」「Excel」「Word」を買いました。ぶっちゃけ、自分の作業をやる時間を作ることばかり考えていた気がします・・・
特に「自分の作業の質、スピードを落とさしてくない」「新人をしっかり育てたい」という2つを同時に達成するための手段を。
〜開始1W〜
開始1〜2ヶ月は、「慣れる」ことが大事だと考え、本の通りにやって、「こうやればできる、あーやればできる」という感じでガンガン手を動かして進めるように指示をしました。あとは適度に、声をかけたり、質問を受けたり。
〜開始2W〜
- 本の残りを読む。→完了。
- ネットの調べ方を教え、適当にExcelの課題を与える。
〜開始3W〜
目に見えて、分かりやすいもの」を考えた場合、次はHTMLが妥当だと考えました。
ある程度ネットは使っているし、HTMLはとてもとっつきやすいと考えていました。
- HTMLの本と、サイトを教えて学習。→日報はHTMLで提出させました。
〜開始4W〜
ここでもう一人全くのド素人が入ってきました。普通だったら、どうしよう・・・と思うかもしれませんが、なぜか、このときの私は、
あ、「復習の意味を込めて教えさせよう。環境面とか教えるの面倒だし、手がかかんないや、ラッキー」
ぐらいにしか感じませんでした。
※以下、1人目の新人をAさん、2人目の新人をBさんとします。
※Bさんの作業については記述しません。
- これまでAさんが覚えた内容を元に、BさんにPCのセットアップ〜プリンタの設定〜ネットの見方などを教育。
- Aさんは、継続してHTML、CSSの学習。
AさんはBさんに教えるのにかなり試行錯誤していましたが、自分が直前にやったことの復習になって、
これまで学んだことは、ここで身になっていたような気がします。これはとても効果的だったと考えています。
以後、Bさんの質問は全てAさんが対応することとし、かなり楽させてもらいました。
〜開始5W〜
- 前週同様にHTML、CSS。適度に「こういうHTMLを作って」などの指示をだし、作業をこなす。
- ビジネスマナー研修に出席。(この間はそっちを優先。3日間。)
マナーについては、初めからひどいわけではなかったし、社内にいるわけですし問題ないと考えて後回しと考えていました。
最低限のものは先述したとおり、既に教えたつもりでした。
〜開始6W〜
- 自分が使っているJavaScriptの辞書的な本で、やらせる箇所にひたすら付箋を張って、そこを学習させる。全部実際にやらせる。
- HTML、CSS、JavaScriptをまぜた課題を与え、作業。
- できたものの説明資料として、Excel、Wordは常に触らせていました。
HTML関連はかなり重点的にやらせました。というのも、WEBの仕事が多く、どこに行っても新人はたいていの場合、HTML作成やドキュメント作成が最初は多いです。また、私のPJ(WEBシステム開発)に入れて、HTML関連の作業からやらせることを決めていました。ここまでで、下記についての学習が終えました。
- Excel
- Word
- HTML
- CSS
- JavaScript
最初のPJで使うであろうポイントに絞って「みっちり」仕込んだつもりです。
ただし、偏りすぎると彼のためにならないため、常にバランスは意識していました。
実は彼は家で与えた本などの予習/復習をしていたようで、「みっちり」仕込めたのは、彼の努力があったからこそです。
最初に厳しく説明した「対価」についての説明が活きたのかもしれません。
〜開始7W〜
次は、DBに関することを学ばせようと考えていました。実践を考えればOracle,MySQLやPostgreSQLとなるのでしょうが、ここでも目に見えやすいもので日本語であるものを選び、Accessにしました。ここでも、1Wは、まずは、DBがどういうものなのか?の理解から始めさせ、SQLで何ができるのか?をじっくり学ばせようと考えていました。2〜3日後に上記を私に説明させました。
ここでも当然のごとく、本を買ってきてそのままやらせました。
- Accessの本とSQLの初心者本を学習。
〜開始8W〜